張作霖爆殺事件について、昭和天皇の密命を帯びた陸軍軍人による調査(マンチュリアン・レポート)と張作霖を乗せた御料列車「侯爵」の独白(アイアン・モノローグ)とが交互に並び、事件を描いていく作品。
作者のこれまでの清朝末期の一連の作品のエピローグ的扱いであり、これまでの登場人物が並ぶところは、ファンにはなかなかうれしいのかもしれない。
しかし、私には、新潮社書き下ろしシリーズのために、無理無理書いたとしか思えなかった。
特に酷いのは、マンチュリアン・レポートの方で、昭和史を知る者には当たり前の話をさも調査っぽく書くのにはひたすら閉口。昭和天皇を担ぎ出したのも何も活きていない。一方で、歴史を知らない人にはチンプンカンプンかさも真相発見的に感じられているのが、他のレビューから伺える。おそらくは、モノローグだけではあまりに不親切なのでレポートをつけたのだろうが、ぶち壊し。
これまでのような丁寧さと長い長い話でモノローグだけにしたら、結構よかったと思う。侯爵と張作霖の会話には、作者ならではの素晴らしい世界を感じられただけに残念でならない。
タイトルの通りだが、これでサーガに幕を引いていいの?浅田さんと真剣に問いたくなる不出来だった。