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「不夜城」「漂流街」など、日本に存在するアジアの闇社会を描いてきた筆者が、いよいよ舞台を国際的な犯罪都市・バンコクに移し、これまでの集大成とも言える作品を書き上げたのだろう、と前期待が高まっただけに残念。
プロット、人物造形共にチープである。
筆者はタイをもっと良く知るべきであった。知らない人が読めば気にならない事も、タイを良く知る人からすると赤面モノである。タイ在住の日本人が十人いれば十通りのタイの姿があるだろう。恐らく筆者はたった一人のコーディネーターの情報に頼り過ぎたのではないか?そこが本作品をチープたらしめる要因である。
「不夜城」を書き上げたときは歌舞伎町に足繁く通ったはずで、だからこそあそこまでの名作が書けたのでは?
もちろん想像力が現実を凌駕することはあり、それが作家本来の創造力であろうとは思う。だがしかし「マンゴー・レイン」で創造されているバンコクもタイ人も現実離れし過ぎて感情移入は難しい。
とはいえ、物語後半から着地点までの緊迫感溢れるストーリー展開は脱帽モノである。次回作に期待。
危機に追い込まれている。それは十河も同じだ。
この物語の特徴は、主人公たちの欲望と護身を根拠とした絶え間ない
探りあいだ。主人公たちは絶えず疑い、人を信じまいとする。
彼らのような生活者にとって、人を信じるということはすなわち
死を意味する。
しかし、十河はそのごみだめの生活を抜け出したかった。
最後のチャンスに全てを賭けた。その結果は?
繰り返される探りあいに途中で少し飽き飽きしてくるかも知れない。
絶え間なく続くワンパターンな展開。この小説で独特な材料というのは
もしかしたら、日系タイ人、幼馴染の裏切り、エイズくらいな
ものかもしれない。
タイトルのセンスはいいと思う。
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