タイトルが「マンガ・ホーキング入門」となっていますが、いわゆるマンガではありません。挿絵(イラスト)が多く文章は少なめ、という作りになっています。ですので、既刊の漫画本(「ホーキング―車椅子の天才物理学者」(丸善コミックス))等のようにホーキング博士の伝記的な内容とは違い、ホーキング宇宙論の内容を少しかじりますから、それらの漫画本よりは少し歯応えがあります。
私は大学の物理を少しはかじっており、既にホーキング博士の「宇宙を語る」「宇宙のすべてを語る」を読んでいるので、復習には丁度良かったと思います。挿絵が多いので数時間程度で読めました。この本の原作は1995年だったため、その後の10年間のupdate(ブラックホールの情報消失問題など)について訳者の方が補筆としてコメントを付けているところは好感が持てます。裏表紙で「中高生も気軽に楽しめる」とありますが、中高生が気軽に読めるかどうかは分かりかねます。但し「宇宙物理に興味のある中高生が大学に進んだらどういう物理に習熟することになるのか」という事項の整理になり、参考になるだろうと思います。
なお、この本でのフレッド・ホイル博士(ポール・ディラックの数少ない弟子!)の扱いが少し偏りすぎかもしれません。彼もノーベル賞を受賞してもおかしくない業績(B2FH論文に代表される「元素形成プロセスの解明」)をあげており、その辺りは「僕らは星のかけら」(マーカス・チャウン)に詳しく分かりやすく書かれています。この本を読めばホイル博士を見る目が変わると思いますょ。