『ダ・ヴィンチ』誌上で06年6月号から10年9月号まで連載された
『右手に活字、左手にマンガ』の書評。
二刀をもって世の中の事象に斬りこんでいるのだが、
相変わらずその切り口は、斬新でありながら奇をてらわない。
何より感じられるのは、活字、マンガを生み出す作家たちの
優れた仕事ぶりに対し、著者がみせる敬意と優しさである。
この敬意と優しさこそが、
「『洪水のように出版される』本に埋もれそうになる優れた作品を
世に紹介したい。」という著者の姿勢を支えている。
敬意と優しさに支えられた姿勢は、
著者の明晰な論旨展開、読みやすい文章によって読者に伝えられる。
その、余りの明晰さに対して、
『文章技術半人前、自己顕示欲人一倍』のオタク評論家の中には
捨て台詞のように、退屈だとか、平板だとか言ったりする輩がいる。
こういう人たちにはせっかくの薬も効かないよね。
病気であり続けることが唯一の存在意義だったりするから。
但し、薬は薬。それのみで生きていくことはできない。
後は、生きていくために、本書で紹介されている作品を
片っぱしから食べることが大事なのだろう。
お口に優しいスイーツ(笑)ばかりじゃないから、
胃もたれするかもしれないけど。