「お金の本質をわかってほしい」(前書きに代えて 参照)
この著者の思いを伝えるツールとして漫画版を選択したその試みは非常に素晴らしい。
また漫画にしたこともあり、廉価であり手に取りやすいという意味でも評価に値するだろう。
しかしながら概して内容は薄味である。
著者自身が本書内(前書きに代えて)において「マンガにしたほうがエッセンスが伝わると思ったからです。」と述べているので、あえて低評価にした。
著者の主張としてはお金の原点に立ち返って”お金=信用”であることを他著と同じように伝えたかったのだろうが、著者の他著にも目を通している私としては他著(たとえばコンセプトは違えども
君がオヤジになる前に等)の方がそのエッセンスは伝わった。
漫画という媒体が合わなかったのか、あるいは作り込みが甘すぎたのか、はたまたその両者か・・・
また”お金=信用”がお金の意義の一面として至極正しいと私自身も思うのだが、他著で家族や仲間を階級(著者自身ステージといっている)の違いに応じて切り捨てることに肯定的である著者に主張を全面に出されてもその説得性にやや疑問符を向けざるをえないというところもある。
ただしさすがだなと思ったのは、本書の内容ではなく著者と出版社のマーケティング力である。
本書は私としては決してお薦めに値するものではないが、漫画版にしてさらにそれに歩を合わせ廉価にしたことによって読者層を広げかつ活字版
新・資本論 僕はお金の正体がわかった (宝島社新書)をはじめとした著者の他著の売上を押し上げる効果は十分にあるだろう。
私が本書を最低評価としなかったのは上記レビュータイトルの試みに対する評価とともにそこに凄さを素直に感じさせられたからである。
蛇足だが、前書きに代えてにおいて述べられている
「・・・たとえば「資本論」って本でも、マンガのほうがはるかに読みやすい。あんな古典でも、書いてあるエッセンスってそんなにないので、マンガでまとめてくれたほうがはるかに伝わりやすい。」
について
漫画という媒体にある読みやすさという箇所については至極賛成だし、おそらく反論のある方のほうが少ないだろう。
ただし、漫画がそのエッセンスを凝縮して伝えきることができるかどうかについては別問題である。
著者はおそらく「資本論」を漫画でしか読んでいないのだろうが、そうであるならば原著に込められているエッセンスがそんなにないと言い切ることができるはずがない。
蛇足として述べたことが本書の内容の拙さを表しているように思う。