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巻頭で使用されたイラクの被爆児童たちの写真は大変痛ましく、臆して正視できない読者もいるでしょう。漫画という手段ははあくまで多くの若い読者にこの問題に触れてもらうために、そして衝撃的な写真はやはり漫画では伝えきれない事態の深刻さに目をむけてもらうために選択された表現方法なのでしょう。
残念ながら「そして私たちは劣化ウラン弾を無くすために何をすべきなのか」を論じた最終章は、観念的な気味を免れていない思いが残りました。「石油のガブのみや大量消費の生活をやめて自然エネルギーや燃料電池を使う」べきだ(72頁)とか、「石油ガブのみ」の「ファーストフードをやめて」「日本の食糧自給率を高めることが必要だ」(73頁)という論は至極もっともです。ですが私の目にはこうした考え方は、今とは異なる新しい消費社会を作る上で便りになるのは読者=消費者個々の自発的な「意思」であると訴えているように映ります。自然な消費統制を消費者ひとりひとりの心に期待するということは、もう限界があるのではないかと考える私には、こうした訴えは力が弱いと思われるのです。本書の提言を読んで、明日から「劣化ウラン弾を無くすためにハンバーガーを食べるのをやめる」という読者が果たしてどれほどいるでしょうか。
ですから本書の最後では、劣化ウラン弾を生まないような消費社会を作るために必要な社会システムや法整備についてもっと具体的な提言がされてしかるべきだったのではないかと思うのです。
劣化ウランの恐ろしさはさることながら、私が一番注目したのは、第7章の「核兵器と原発のあやしい関係」です。
原子力発電所は、核兵器の材料であるプルトニウムを作る原子炉や原子力潜水艦の動力炉を転用したもの。原発の燃料であるウラン235とプルトニウムは原爆弾の原料であることは科学者もジャーナリストも知っていたが、日本政府とエネルギー産業はアメリカの核政策に全面的に依存。原子力発電の推進を推し進める・・つまり、合法的にプルトニウムを保持できるわけですよね。お陰で「使用済み核燃料中間貯蔵施設」の誘致合戦も続いています。
今後、目先のお金にくらんで、美浜原発事故のように尊い命が失われることのないよう、チェルノブイリを対岸の事故で済まさないよう肝に命じたいです。そして、プルトニウムが人を殺す道具として用途が転じられることがないように見守っていきましょう☆
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