2002年から2010年までという長い期間にわたり、書かれたメディアも様々であるということもあるかもしれない。だが、それにしても、論じ方が驚くほど多岐にわたる。微苦笑を誘うものも、思わず考え込んでしまうものもある。文章一つ一つが違う切り口をもつと云ってもよいくらいである。
ポピュラーな作品も確かにたくさん紹介され、論じられている。だが、記憶に残るのは、その時引き合いに出された、ほとんど聞いたことが無かった作品である。初めて聞いた作品が多いにもかかわらず、それらは余りに魅力的に見える。すでに評価の高い作品に対しても、独特の視点からのアプローチが光る。
未読の作品に魅力を与えているものは、著者の<「たかがマンガ」といわせてほしい>という姿勢だろう。「たかがマンガ」を大切にせず、読者に対して高を括ったように見える作品に対しては厳しい。
著者の芸を楽しむもよし、読者にとって魅力的な新しい著者、作品を探すのもよし。いずれにしても、読者は期待を裏切られることはないだろう。