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本書は、ちょっと古いマンガ作品を読みながら、普段考えないことを考えてみよう、と読者を挑発する本です。たくさんの作品が取り上げられていますが、主なものは…藤子F不二雄「気楽に殺ろうよ」他SF、吉田戦車「伝染るんです」、諸星大二郎「感情のある風景」「夢みる機械」「子供の遊び」、福本伸行「カイジ」、萩尾望都「半神」「A-A'」、士郎正宗「攻殻機動隊」、高橋葉介「壜の中」「夢」、佐々木淳子「Who!」、楳図かずお「漂流教室」「わたしは真悟」、松本大洋「鉄コン筋クリート」、永井豪「霧の扉」「デビルマン」、しりあがり寿「真夜中の弥次さん喜多さん」、業田義家「自虐の詩」、坂口尚「あっかんべェ一休」、つげ義春「無能の人」、岩明均「寄生獣」などなど。他に星野之宣とか石ノ森とかゆうきまさみとか赤塚、西原とか。
ご覧の通り、ちょっと古いです。それだけに私にはわりとヒットした。
本書には一つの道筋があって、マンガを読みながら「私とは何なのか」という問いを考えていくという本筋があって、それに変奏曲がまじるような構成になっています。なかなか読ませます。ストレス少ないし。
先の1行はこう続きます。
「が、小さな隔たりをうめようとするその運動こそが、おうおうにして深淵をつくりだしてしまうのである。」
かっこいいなあ。
ただし、本書は、間違っても
「哲学をマンガでわかりやすく理解しましょう」
といった、よくある類の本ではない。むしろ、一流のマンガが、
人間の本質にいかに鋭く迫るものであるかを、
哲学者がひとつひとつたどっていく一冊である。
実際、本書を読んでいると、著者がマンガのすごさに圧倒されている
場面が多分にでてくる。
私もまた、吉田戦車や楳図かずお、諸星大二郎の鋭い洞察力に圧倒された。
やっぱりコイツら只者じゃねえ!という感じである。
また本書に対して、マンガの選択に偏りがあったり、
読解が一面的である、という批判がでてくるかもしれない。
しかし、それも著者にいわせれば、
「これが私のマンガであって、きみのマンガはどこか?」
ということなのだろう。本書で取り上げられる作品は、
あくまで永井の趣味に沿ったものでしかない。
その意味で、本書も、他書と違わず、永井哲学が色濃く
映し出された一冊になっている。
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