書名は「マンガはなぜ規制されるのか」ですが、内容の95%は「規制はどのように行われてきているか」を丹念に綴ったものです。「なぜ」の部分に関する考察はごく一部です。ですから「なぜ」という問いに対する回答を即座に得たいという方には期待に添えないと思いますが、「なぜ」を考えたい人、自分が規制に対してどう判断すべきか検討している人にとってはスタート地点とすべき内容だと思います。
歴史を追っていくと、多くの理不尽さ、権力の横暴さにこちらが冷静さを失いそうになるのですが、著者はあくまで冷静かつ無駄なく経緯をまとめていきます。高密度にまとめられた一冊なので、ぱっと読んで著者の意見を知るという本ではなく、コンパクトにまとめられた基礎文献へのガイドとして利用したり、これまでの経緯を概観するために繰り返し参照するのに便利でしょう。
2010年12月には都議会にて東京都青少年健全育成条例の改正案提出に動きそうですから、言論の自由、青少年の権利を大切に思う方でしたら、その前に、つまり今すぐ手にして目を通しておくべき本ではないでしょうか。