著者の斉藤さんは、編集者、マンガ研究家で、マンガに関する著書が多数あります。本書は、マンガにいくつかのものさし(補助線)を当てて、それぞれのものさしで、マンガを時系列で評論し、同時に個々のマンガのガイドにもなるという、少し欲張ったコンセプトで書かれています。
全体を9章に分け、そして、各々のものさしでマンガを論じています。例えば第2章では、魔球が消えるというタイトルで(補助線が魔球です)、くりくり投手(懐かしい)から、アストロ球団、そして、ものさしは変わってきていますが、砂の栄冠までを紹介、解説しています。3章はギャグマンガです。この分野では、赤塚さんの存在が何といっても大きいんですが、意外にも、ギャグマンガという言葉が冠せられたのは、忍者あわて丸(つのだじろう)が最初だった事が述べられ、ギャグマンガの歴史が書かれています。
私がこのものさしも有るかなと思ったのは、サンプリングマンガです。どうも定義がはっきりしないんですが、単にパロディーで使う場合もあるだろうし、また、作者へのオマージュの場合もあるだろうし・・これについては、もう一つ明確なて定義が必要だと思います。
また、マンガ家マンガですが、これももう一つ定義がはっきりとしないんですが、私自身は、マンガ家の私小説だと考えています。となると、一連のつげ作品、小林まことの青春少年マガジン等も入ってくるのではないかなと思います。
通読して、新しい試みをされているのは、よく理解できますが、著者の言うところのものさしの選定基準がはっきりと解らない、そして、太宰へのこだわりもよく解りません。そして、文章が読みにくい(内容が難しいのではありません!)等の難点はありますが、索引もありますし、興味のある人には、一読をお薦めします!!