著者が想定している主な読者は「今まで描いたこともなかった人」。落書きから始めればいい。紙と鉛筆さえあればいい。手塚は、繰り返しそう言う。そして、「省略、誇張、変形」という基本的な考え方やそれに基づく絵の描き方、実際にアイデアを「ひねり出す」ための「問題集」、など具体的なテクニックを惜しげもなく披露し、漫画の世界への扉をいっぱいに開いてみせる。例えば、「いろいろな顔をつくろう」と題した見開きページ。まゆげ、目、鼻、口の4つのパーツがそれぞれ8つのバリエーションで右ページに描かれ、左ページにはそれぞれを組み合わせて32パターンの顔の例を並べていく。これなら描けるかも…と著者の思惑通りについ手近な紙に落書きしたくなってくるような楽しさ、わかりやすさである。
一方で、読み飛ばしてもかまわない、と前置きしつつ本格的な技法や印刷などの専門的な知識、そしてプロを目指す人や新人漫画家への厳しいメッセージも幾度も顔を出している。後半になるにつれその傾向は強くなり、手塚ファン、漫画ファンには読み応えのある記述が並ぶ。「(アイデアを生む苦しさについて)ぼくだってこうなのだから、みなさんだって労力や努力を惜しんではいけない」。「ぼくの漫画から、戦後の長編漫画が確立されたと、気の弱いぼくだけど、これだけはそう信じている」。漫画の「神様」であった手塚の、漫画界を引っ張る者としての自信と責任感、後輩たちを育てることへの熱い思いに溢れている本。巻末に収録されたQ&A形式のあとがき、夏目房之介の解説も興味深い。(門倉紫麻)
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新しく漫画を買うかどうかは、「絵柄」で決まる。
その漫画が本棚にいつまでもある為には、「内容」が問われる。
本書では、やさしい入門書であるといいつつも、「内容」を重視しながら、
「心のこもった絵」を描くことを読者に求める。
漫画を描いたことのない人は描きたくなる、
描いている人は大事なことを思い出す、
読んでおきたい一冊である。
内容としては、
・初心者が「マンガを描く」ためには、どういうことをすればいいのか
といった最初の動機付け。
・魅力ある「マンガ」とはどういうものか。
・「マンガ」と教育の関わり。
・・・など。マンガに対する手塚先生の考え方が述べられています。
最近のマンガは、絵の技術は相当高くなっているが、どこかしら
似たような展開のものが多いと思います。
マンガは、アイデアが重要で、絵は「省略、誇張、変形」という
単純だが特徴をもつべきだという主張が一貫して述べられています。
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