読みやすさと数学的な厳密さのバランスが抜群な良書だと思います。
こういう本は、大抵数学な部分は数式を使わずに標語的にごまかすんだけど、
この本はある程度しっかりと書いてくれてると思います
(無限グラフの平均次数の説明など、ちょっと微妙なところもあるけど)。
あと、必要十分とはいかないまでも、説明がポイントをおさえていて、
余分な労力を使うことなく目標にたどり着くことができると思います。
そして、新しい概念を導入することのモチベーションもしっかりと書いてくれてるから、
読み進める意欲が沸と思います。
前半部分は、現実社会のネットワークをを数学の言葉にするための、
数学的な準備です。
平均次数やクラスター係数などのグラフの特徴を表わす量をいくつか定義してます。
あと、現実社会に現れるネットワークの数学的なモデルを構成するために使う、
完全グラフなどの特別な特徴を持つクラスのグラフや、ランダムグラフなどの概念も用意します。
後半では、現実社会の持つのネットワークの持つ特徴を、
具体例などを交えつ前半部分で定義した数学用語を使って説明してます
(「世間は狭い」などの現象を数学的に記述する)。
その後、その後少ない頂点からグラフを成長させるアルゴリズムで、
現実社会や自然科学に現れるのネットワークの特徴を
再現するようなものをいくつか紹介しています。
つまり、現実社会のネットワークの「成長の仕方」を、
数学的な対象であるグラフを用いて説明するという感じです。
各章末には概念の確認程度の、簡単な計算程度で解ける練習問題もついてるので、
それを解きながら読み進めれば、重要な概念を忘れにくくなるし、感覚もつかめるでしょう。
ただ、マンガではわかるというのは嘘だと思う。
左が文章、右がマンガという形式なんだけど、マンガを読んだだけではわからないです。
やっぱり、文章を読むことが大切。
グラフとか組合せ論が好きな人、
あるいは、現実の現象から数学のモデルを作るのが好きな人にオススメ。
複雑ネットワークって面白い!と思わせてくれる一冊でした。