一遍の詩に絵をつけてできた、小さな短い絵本です。一人暮らしのおばあさんと動物たちの優しいお話。あるものの中から分け与えることのあたたかさが心に染みる物語です。
素敵な詩、素敵な挿絵については、他の書評に充分書かれていますので、ちょっと変わったコメントを書かせていただきましょう。
巻末に英文もそのまま載っているのが「おまけ」の嬉しいことでした。翻訳の日本語も素敵ですが、原文も素敵です。少し学校英語とは違うところもありますが、そんなに難しい英語ではないし短いものなので、ぜひ読んでみてください。日本語では気付かなかったことがみつかるかもしれません。例えば主人公の「マローンおばさん」はMrs.Malone。ミセスですから「結婚していたんだろうな。子どもや連れ合いはどうしたのだろう?」などと想像がひろまりませんか?キリスト教的な結末の、英語の表現も実際の使われ方を実感できます。「天国の門」には特に「天国の」という言葉はなくてthe Gateです。聖者の「聖ペテロさま」も英語ではただPeter、ただのピーターさんなのですね。ちょっと宗教色の強い部分も、そんな風に勉強になったりしました。
冬の日に餓え、疲れた動物たちに分け与えるやさしさ。でも、困ったものです、現代の都会ぐらしでは「餌を与えるから増えて困る」と苦情がでることもあるのですから、物語のまま、を実行するわけには行かないのが辛いところ。なんだか少しさみしいですが、「こころざし」だけはマローンおばさんのようでありたいものです。