マルメロというのが果物の名前だとは観てから知りました。
そのマルメロに射す太陽の光と、同じくマルメロに対する画家のノスタルジックな思い(故郷や故郷近くでの思い出)を表現している題名だと思います。
主役を演じる画家のアントニオ・ロペス=ガルシアの魅力が本当に
画面に命を与えているようです。たぶん、実際に彼の作風はこの映画と同じなのでしょう。描き方も含めて。
彼が描くマルメロはあるアパートメントの中庭に彼自身が植えているのですが
それに応えるようにマルメロも実をたわわにつけ、画家の思い出を浮かび上がらせるのです。それが陽光としてきれいに輝くし、画家もそれを毎年、家自身の記録としてともいえるくらいに書き続けるのです。
そんな、平凡なシーンですが、この!アパートを通り過ぎる慌しい人々と対比して同じアパートで妻の画家が描く絵画との対比も影の対比として素晴らしく
老夫婦の静かなときを描き出します。こう書くと静かな映画だと思われるかもしれませんが、たぶん、いろいろなことをしてきて、若いときははしゃぎ、馬鹿なことをしてたどり着いた二人の時間なのでしょう。ですので、はしゃぎたい最中の方が観ると退屈かもしれません。しかし、この生活にたどり着き、過去を回想できる人生というのもいいものだと思います。私はまだまだ経験が必要だと認識いたしました。
画家の(主人公)絵の描き方がきれいなので、思わず、「ミスティリアス・ピカソ」などの画家の描いているシーンの入った映像を観たくなりました。そういえば一つのポイントにミケランジェロの絵が、彼のライフスタイルや技法、情熱に対する尊敬の念をこめた主人公の気持ちとしてこの映画の中に描きこまれております。凄い対比なのですが。