スペインのバレンシア郊外で下宿屋とバルを営む家の一人娘マルティナ。不動産業で裕福な生活を送るシエラが何かと彼女をくどきにかかるが、彼女は常に肘鉄を食らわすばかり。そこへ新任の高校教諭ウリセスが現れる。一目で恋に落ちるマルティナとウリセス。経済的には豊かではないが心満たされる甘い日々を送る二人。互い以外との生活など想像も出来ない彼らであったが…。
前半は美男美女によるこの上ないほどロマンティックな恋物語として描かれ、見る側の心も浮き立ちます。しかしこの映画はビガルス・ルナの監督作品です。そうあの「ハモン・ハモン」や「ルルの時代」を撮ったビガルス・ルナです。私たちを夢物語の中に気ままにいつまでも遊ばせておいてくれようはずがありません。
「ハモン・ハモン」でもそうでしたが、この物語の中に溢れるセックスは心の隙間を埋めるために倦むことなく繰り返されるものです。退廃的で甘美な恋に溺れる二人には悲しい代償が待ち受けています。しかし恋愛は理屈の紐でくくっておくことのできるほど大人しくしているものでは決してありません。「破滅」の恋だと分かっていても人はやはり恋に溺れてしまうのです。溺れることの中にこそ愉悦があるという秘密を知ってしまった時には。