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マルテの手記 (新潮文庫)
 
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マルテの手記 (新潮文庫) [文庫]

リルケ , 大山 定一
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

在庫あります。カバーに若干キズがありますが、中は書き込みも無く綺麗です。

登録情報

  • 文庫: 302ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1953/06)
  • ISBN-10: 4102175032
  • ISBN-13: 978-4102175033
  • 発売日: 1953/06
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 この本を最初に手にとったのは、まだ中学生のころだったと思います。そのときの本をまだ持っています。「断片的感想、美貌ノート、散文詩の一節(・・・)、日記、手紙などを一冊にまとめ上げた手記体の小説」とカバーの宣伝文にあり、明確なストーリーがないようなので、きっとむずかしいのだろうなと思いつつ読み始めたのですが、冒頭の一節ではまりました。

 「人は生きるためにこの都会へ集まってくるらしい。しかし、ぼくはむしろ、ここではみんなが死んでゆくとしか思えないのだ。」

 続けて描かれるパリの街頭の描写は、都会の華やかさはまるでなく、そこに住まう人々は孤独で、互いに語り合うこともなく、己の運命とだけ向き合わされているような貧しい人々ばかりなのです。そんな病的なまでにモノクロームの描写にとらわれたのは、大人になり始めた私の心の中の孤独とあまりにもぴったり響き合うところがあったからです。

 この本を読んだことはその後の私の人生を決定したということができます。都会の中の孤独な生の予感。自分自身の死を死ぬために従僕たちや猟犬を引きつれ、大騒ぎして屋敷のなかをあちこち病床を移してまわった、主人公の祖父、侍従ブリッゲのような、壮絶な死は望むべくもなく、無名の死を死ぬのなら、せめて自分が生きた証を作らなければならない。

 まずは勉強していい大学に入ろう。その中で自分が自分である生を見出していこう。そう決めて入った東京の大学で見えてきた未来は、マルテのような不安に満ちた生き方ではなかったものの、自分が生きた証を残せるほど確実なものではなく、卒業して、就職して、入った会社を辞め、別の会社に就職して、ただいたずらに時間だけが流れていきました。

 でも結婚して子供ができると、最初の願望はあっさりかなってしまったような気がしました。単純な話です。以来この本は私から少し遠ざかりましたが、こんどは青春の感動の正体をもう一度確かめるために原文で読もうと、10年ほど前から辞書を片手に少しずつ読んでいます。

 読み直して思うのは、ここに書かれてあることはぜんぜん古びていないな、ということ。核家族がさらに解体されて個人世帯が増え、グローバル化で雇用が不安定になった今日、マルテのように都会で孤独な生活を送っている人はかえって増えているでしょう。

 いま孤独な人はこの本を読んでみてください。元気はもらえませんが、自分がいま孤独であることの意味は必ず見つかります。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hny
形式:文庫
 まもなく50代に入る私が、ついこの間とも思える10代の後半にこの書を持ち歩き、電車の中、学校などで読んでいたあの時。タイトルは忘れる事はなっかたが、本そのものはとっくにどこかに消えてしまった。なぜ今この本を再び手に取ってみようと思ったのか・・・。特にこの30年間私の心のシ−ンに映り続けている一つの場面がある。
それは、主人公が見知らぬ町での散策のなかで語る病院のシ−ン。その描写はその病院の待合室での人々の様子をただ見たままありのままに語っているもの。それは、自然に自分自身の言葉と化してみえるように読まれる。その時の心の持ちようは、不思議と純粋に、無欲になってくる。そして、一見汚れたものや、汗くさい、埃っぽいものなどが親しみのある感すら思えてくる。自分は自然にそれらを受け入れているんだと気が付く。そして、りっぱに見えるものが、商業主事の一切が、しいては物質至上主義そのもが、いかに人を惑わして、拡大し、暴走している現代社会があるのだと気づかせてくれる。そんなことは多分、筆者のリルケさんは意図していないと思う。なぜなら、その病院の描写が、その方法論だとすれば、あまりにもかけ離れているものだから。
 とどのつまり、これは、仏教的な無の提示だとも言ってもいいと私は思いますが、理屈ではなく、そういう気にさせる事で、分からせる、これが、独特なのだと思う。当然そういう気になるかならざるかは、その人の経験資質による事はいうまでもない。損得勘定優先で生きている方々には、ご無理なことでしょうし、読解力と分析力至上主義の方々にもさらにご無理かと。つまり、これをなしうるには、なにも持たない裸の心があれば充分というわけなのかも。余計なものは、すべて捨てる。そこに、本当の美しさが見えてくる。優劣のない命の可愛らしさが見えてくる。
リルケは、100年も前にそれを書き残してくれた。のだと思う。
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ボヘミャー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
近現代文学の名作『マルテの手記』。
「世界」の全体性から分断され、「個」として漂泊する魂の独白。

文庫では、新潮、岩波、講談社と数種ある。
最も出版が新しい岩波の望月市恵訳は、モダンで、ソリッドで、推進力と迫力がある。
定評あるのは新潮の大山定一訳。都市の中を漂う詩人の心象を叙情的に表している。

冒頭近く(24P)に有名な「リルケの詩論」tpされるものがある。
「詩は人が考えるように感情ではない。詩がもし感情だったら、年少にしてすでにあり余るほど
持っていなければならぬ。詩は本当は経験なのだ・・・」

巻末には15頁の訳者「あとがき」がある。
そこに記された「どこにも心の拠り所がありません」というリルケの言葉。
この小説を書き上げてから15年間、まとまった創作から離れてしまったリルケ。
このあとがきは、作者の内部から『マルテの手記』の深さと意味を照らしだして、切実さが身にしみる。
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