仏映画界の巨匠アラン・コルノー監督が遺作に選んだテーマはやはりフィルムノワール、そしてヌーヴェルバーグ創成期を支えた一人メルヴィ
ルの「ギャング」のリメイク、原作は本人が元犯罪者のジョゼ・ジョバンニの「落とし前をつけろ」となれば・・・・もうマニアの方々なら絶対
に見落とす事が出来ない作品でしょう、はっきりいって最高です。
トレンチコートにソフト帽、薄暗い夜に佇むパリの町並み、 そして水面下で交錯する駆け引きと陰謀、そして心の中で静かに燃やす仁義、
往来のファンにとってこれは待ちに待ったフィルムノワールの再建といっても過言じゃありません。
私はまだメルヴィル版を見ていないのですがリメイクでここまでのレベルなら間違いなくオリジナルも(なにせメルヴィルなので間違いはありえま
せん)素晴らしい一品なのでしょう。
感覚的に言ってしまえば仏版「仁義なき戦い」です、大物ギャングがある日唐突に脱走し愛する者と過去のしがらみを一糸にまといながら
人生最後のヤマを踏む、しかしそれを阻もうとする警察の魔手も迫り・・・・・・といった感じです。
オートゥイユが「裏切りの〜」シリーズでも見せる男気と個性を今回も全開で見せてくれます、モニカ・ベルッチも例によって優しいファムファタ
ールを切なく演じていてとても素晴らしいです。
ここまでロマンチックで渋い映画は本当に最近だと中々見えません、コルノー監督人生最後でも大きくかましてくれてます。
レビューの中で確かにアクションに関してはジョニー・トー的な演出は確かに似ているとは私も思います、しかし偶然の一致としかいえないで
しょう同監督の「真夜中の刑事」でも同じような演出でしたし。
それになによりフレンチ・フィルムノワールは単なる犯罪映画ではありません、暗黒街というもっとも原始的なやり方が覇権を握る弱肉強食の場で
繰り広げられる登場人物たちの死闘、陰謀、心理、人間関係をドライに描くのが真骨頂のはず、アクションはとりあえず二の次に考えてハリウッド
では省略されがちな登場人物たちの人物像と重視して観るのをお勧めします。