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マルクスその可能性の中心 (講談社学術文庫)
 
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マルクスその可能性の中心 (講談社学術文庫) [文庫]

柄谷 行人
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

マルクス=ヘーゲル主義の終焉において、われわれは始めてマルクスを読みうる時代に入った。マルクスは、まさにヘーゲルのいう「歴史の終焉」のあとの思想家だったからだ。マルクスの「可能性の中心」を支配的な中心を解体する差異性・外部性に見出す本書は、今後読まれるべきマルクスを先駆的に提示している。価値形態論において「まだ思惟されていないもの」を読み思想界に新たな地平を拓いた衝撃の書。

内容(「BOOK」データベースより)

マルクス=ヘーゲル主義の終焉において、われわれは始めてマルクスを読みうる時代に入った。マルクスは、まさにヘーゲルのいう「歴史の終焉」のあとの思想家だったからだ。マルクスの「可能性の中心」を支配的な中心を解体する差異性・外部性に見出す本痛は、今後読まれるべきマルクスを先駆的に提示している。価値形態論において「まだ思惟されていないもの」を読み思想界に新たな地平を拓いた衝撃の書。亀井勝一郎賞受賞。

登録情報

  • 文庫: 254ページ
  • 出版社: 講談社 (1990/7/5)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061589318
  • ISBN-13: 978-4061589315
  • 発売日: 1990/7/5
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
形式:文庫
柄谷行人は、知人に自身のカバーのすり切れた『資本論』をみせ、「ここまですり切れるほど資本論を読んだ人間は日本に他にいまい」(大意)と豪語したという逸話を残している。本書は、そんな日本の筆頭マルクス“読者”による、マルクス論。しかしそれは、これまで哲学者や経済学者がたどり着けた「初期」から「資本論」へと連綿とつづく「マルクス論」ではない。彼のように紙に穴が開くほど読み込んだからこそ、かすかに見える資本論からはみ出る「外部」、また別の「可能性」としてのマルクスである。逆接につぐ逆接の応酬が持ち味の文体だけに、読むのは大変だが、この人の他の著作に比べれば簡易で読みやすいか。

この本では、すでに著者がその後も長きにわたり考察していく「外部」の問題が顕在化している。異なる商品を同質な価値の平面におく、貨幣そのものに宿る形而上学を指摘した貨幣論。さらに資本主義そのものが内的に必然としている「外部」を指摘する商人資本論。またその問題の射程は価値形態論に限定されず、ソシュールを始祖とする構造主義言語学の「意味するもの」と「意味されるもの」にまで飛び火するのだが、根本にあるのはやはり、自明とされる根本の二元論、その歴史性と外部へ向けられる眼差しなのである。

また本書には、[[ASIN:4582764029 漱石論集成]]にも納められることになる漱石詩論、「階級について」と「文学について」も転載されている。これを読めば、キリスト教/儒教、西洋文学/漢文学という二つの二項対立の狭間でさまよい病みながらも、それでも「外部」への「可能性」を試みた漱石像が浮かび上がっていく。
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形而上学批判 2007/10/14
形式:文庫
この本はマルクス主義の本でもなければ、マルクスの考えを好意的に解釈しようという試論でもない。あくまでマルクスの「可能性」を検討したものであって、柄谷はマルクスのいまだ「思惟されていない」部分を読み取り、時にはマルクスと決別しさえする。
まず柄谷は『資本論』の価値形態論から入るが、古典派経済学の労働価値説との違いを強調する。マルクスの価値形態において、価値とは複数の商品の関係において表れてくるものである。一方で、スミス、リカード等の労働価値説は商品に内在する価値を認め、それは労働時間に他ならないというのである。そしてマルクスも同じく、価値形態の必然的帰結として「拡大された価値形態」=「貨幣形態」を導く。しかし柄谷はここで「転倒」が生じていると指摘する。マルクスの貨幣形態は、現実に貨幣が使われているからそういうのであって、論理的帰結ではないというのである。そもそも「内在する価値」を想定すること自体が危険だというのだ。
これは、古典派経済学批判、貨幣形態論批判であると同時に、「本質」の存在を当然視するヘーゲル哲学、形而上学批判でもある。

続いて柄谷は「剰余価値論の検討」「マルクスのテクスト一般の検討」に移るが、その態度は一貫している。剰余価値については一部不信な点もあるが、柄谷のオリジナリティは充分に見てとれ、同じくマルクスについて言及している『探究(1)』の布石として読むことも可能である。
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形式:文庫
柄谷氏は、資本主義において等価交換がなぜ利益を生み出すのか、等価交換が、値が等しいものの交換であるにも関わらずなぜ価値をもたらすのかについて、空間的に異なる価値体系間での交換(貿易:商人資本)や、時間的に異なる価値体系間の交換(技術革新:産業資本)で説明していて、なるほどと思えたが、今思えば何か物足りない。それは、柄谷氏が相当こだわったマルクスの価値形態論なしでも言えることであるし、結果から見た弁証法的説明に過ぎないからではなかろうか。「マルクスその可能性の中心」を改めて読み直すとすれば、恐慌にしかない。
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