貧困・格差問題便乗本、蟹工船ブーム便乗本と並んでマルクス・ブーム便乗本も多く出版されているが、これもその一つ。
安直な作りが目立つが、とくにひどいのは的場昭弘氏の『資本論』解説。「『資本論』完全解読」という華々しいタイトルがついているが、わずか30頁のいいかげんなもの。このわずかな頁で『資本論』全3巻を「完全解読」するというのだから、驚きを通りこしてあきれはてる。
内容もひどい。『資本論』解読といいながら、実際の『資本論』の内容とまったく異なる記述ばかり。とくに、資本の獲得する剰余価値が、労働力が価値以下で販売されることから、すなわち不等価交換から生じると「解説」しているのは驚いた。彼自身がそう考えるのは自由だが、それを『資本論』の「完全解読」として提示するのはいかがなものか。
本書の中心になっているのは宇野派の重鎮である伊藤誠氏だが、伊藤氏はそのような解説でいいと思っているのだろうか?