奔放で破天荒ながらも何かと面倒見の良いマリーと、優等生で真面目な分、型破りな家族の行動にハラハラさせられがちなエリーの、二人の錬金術師の日常に起きる大小さまざまな出来事を描いた作品の、五年越しの続編です。
収録されているのが同人誌として発行された作品のため前作よりも更にスローテンポな日常の物語となっており、恐らくその点に馴染めない方も居られることかとは思うものの、個人的には当作にはこのくらいのテンポが合っているように感じます。
そこに暮らす誰もが当然の日々を過ごす、他とはほんの少し違った剣と魔法の世界での物語。
誰もが当然の暮らしをしているなら、そこにはまた当然のように思い掛けない失敗や種々の事故、人々の間の誤解や軋轢などもあって、それらが時にトラブルの火種になったりもするのですが、我らが「すっとこどっこい」は、そう言ったことに或いは巻き込まれ、或いは自ら首を突っ込み、そしてまたある時は自らが原因となって、その都度騒動を巻き起こします。
それを毎度十割真面目、とはならずに解決して行く主人公と彼女らを取り巻く人々の、少しおかしな日常をながめて楽しむうちに、ふと肩の力が抜けたのに気付く、そんな作品です。
前作の終了で一度、彼ら彼女らの日常を覗く窓は閉じてしまいましたが、今再び読者の前に窓は開き、その向こうにはあれから後も自分たちの日々を過ごしていたことを感じさせる、そこに生きる人々の暮らしをまた少し覗き見ることが出来ます。
かつてこの作品に親しまれた方も、或いはそうでない方も、一度この本を手に取って、自身の前に彼らの日常に通じる窓を開いてみてはいかがでしょうか…