レジュニナのオーロラ姫は、Flower fairyの絵本からぬけ出たようで、生きた妖精さながら、可憐で、どこかはかなげで、思わず守ってあげたくなる雰囲気があって、おとぎ話の主人公にぴったりです。そして、その彼女に夢中になる王子を――そして最後に結ばれる高揚感を――若いルジマートフが見事に演じています。
キーロフ(マリインスキー)は、つとに知られる優雅さに加えて、音楽性が高いのが特筆すべきところです。妖精たち踊りなども、指先からつま先まで使って、音楽の持つ躍動感や柔らかさを自在に表現しており、たんなるお姫様風とは一線を画しています。
衣装については、録画というより舞台(遠目)を意識しているのか、かなりシンプルで、豪華とは言えない面もあるのですが、鍛えられたダンサーの生む華麗な動きは、それを補ってあり余るものがあります。団員のテクニックもさすがに超一流で、第二幕のコールドも美しいし、青い鳥のジャンプもみごとで、ロイヤル・クラスならば主役が勤まるレベルでしょう。
第三幕の舞台は、高い天井を利用した格調高いもので、曲と作品のイメージにあっています。もっとも、そもそも設定が森の中の城なので、装置をことさら絢爛豪華にする必要もないのかもしれませんが……。全体としては、ダンスそのものを楽しみたい人向きで、オペラ座の『眠りの森』ような究極の宮廷趣味を望まれるかたには、やや物足りないかもしれません。それでも踊り手一人一人が見せる優美さ、高貴さは、さすがにキーロフならではです。