期待のロザリオ授受や呼称問題はかなりあっさりと描かれています。
大目標そのものよりも、そこに至るプロセスの描写を重視して、
目標となっている行為自体の描写は簡潔なもので終わらせる。
という作者の得意な作劇手法ですね。
主軸の周囲にちりばめられた小エピソードもそれぞれに秀逸です。
特に演劇部部長の、瞳子への献身的な愛情は、読んでいて切なくなります。
一方で、マリみて全巻を通しての主要モチーフの一つである
「受け継がれていく思い」の象徴が「送る会」の隠し芸ではないでしょうか。
『仮面のアクトレス』で瞳子があえて世襲反対を唱えて立候補したエピソードと、
対をなす今作のラストシーンであったように思います。
今後は、作中で友人に指摘されるように「どっしり」してきた祐巳が
「姉」という未知の立場をどうこなしていくのか。
さらに、今まで語られていない部分の瞳子の思いの変遷は、
今後語られることがあるのかどうか、まだまだマリみては終わりそうにありません。