「練度が低いせいで負けた」、「VT信管のせいで負けた」などの漠然とした定説で語られる、マリアナ沖海戦や大戦後半の日本空母部隊の「本当はどうだったのか?」を知りたい人にはうってつけの資料と言えます。天山の電探使用や幻の605空、601空の基幹となった前身部隊とは?エンガノ岬沖海戦な後の母艦航空隊の動向は?などどこの類の研究をする人(マニア)ならば非常に興味を引きつけられる内容が大量に収録されており、生存者の証言や一次史料をベースとした考察や記述は必携の内容とだと思います。
ただ残念なのは、文章そのものの「てにをは」が怪しいような文章が目に付きます。このせいでせっかくの史料や貴重なインタビューも前後関係の意味が不明だったり、読み進めるのが困難な部分が多いです。著者は資料提供やアドバイスに徹して文章はプロのライターに任せた方が良かったのかな?とも思います。本書は「本」と言うよりは研究者やマニア向けの「史料綴り」といった方が良いかも知れません。