スペイン人の神父の求めに応じて,18世紀の始め頃,キチェー族のマヤ人がローマ字で記憶を頼りに新たに書いた先祖の伝承.天地創造からスペイン人の侵略の後まで.ただし,成立の事情が以上のようなわけで,もともとのポポルヴフより簡潔になっているものと推測されている.神話は,実にユニークなもので,わが古事記より複雑怪奇に見えるが,人々の発生増殖まで視野に入っているのには感服させられる.この本は,メキシコのマヤ学者レシーノスによるキチェー語のスペイン語訳を外交官でスペイン語学者でもあった林屋氏が邦訳されたもので,原注,訳注,原解説,林屋解説すべてが完備した学問的にも模範的な出版物である.とにかく感動的.滅び果てたと思っていたら,とんでもない.これはまさに宝物.