「ママは小学4年生」というタイトルを聞いて、えっ、と思った人もいるかもしれない。種明かしをすると、15年後に自分が産む赤ちゃんがタイムスリップして来た、という話である。安心して子供に見せられるのでご心配なく。(笑) というわけで、本作はSF作品に分類されるのだが、SFとしての要素はその程度しかない。かわりに本作では、驚くほど濃厚な人間ドラマが展開される。基本的には天真爛漫な赤ん坊に振り回される子供たちと大人たち、という構図のコメディだが、時折重厚なエピソードが散りばめられて、全体としては親子を中心とする家族愛の物語に仕上げられている。 そして、作品全体を見終わると、ただ単にこの世に生まれてきたという、ただそれだけのことが、どれほど人に愛されて幸せなことなのか、それが痛いほどわかるのである。子供がこのような作品を見て育つならば、非行に走ることなどあり得ないだろう。 本作品の知名度は必ずしも高くないと思われるが、SFとしての要素が希薄であるにもかかわらず、日本SF界では有名な「星雲賞」を受賞したことからも、高く評価している人が少なくないとわかる。制作元のサンライズは、ガンダムをはじめとするSFアニメを数多く作ってきたことで有名なアニメスタジオであるが、そのサンライズの星雲賞初受賞作が本作だというのは、実に興味深い。 私は数多くのアニメ作品を見てきたが、いずれ生まれるであろう自分の子供に、どうしても見せてあげたいと思うアニメ作品はたった一つしかない。それが本作である。