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細かい点までカッチリと組み立てられた、精巧なジグソー・パズルのような本格推理が楽しめる。さらにすばらしいのは、ママの鋭い推理が、深い人間洞察に裏打ちされている事。ママの推理により浮き彫りにされる、人間の愚かさや哀しさが、単なる推理パズルではない、深みと暖かみを物語に与えている。文体は会話主体で、とても軽くて読みやすいのに、内容的にはとてもコクがある。
さらに、ママ、デイビッド、シャーリーといったキャラクターが、生き生きと描かれている。特に興味深いのはシャーリー(好きという意味ではない)。大学出の才女なのだが、想像力に著しく欠けるため、探偵としての才能はからっきし。頭の良さにもいろんな種類があるのだな…と妙な感慨を覚えた次第である。
本シリーズの他の作品は、短編ではなく長編で、しかもデイビッドがシャーリーと死別し、警察を辞めて、ニューヨークからロッキー山麓のメサ・グランデに移る…という、本書とはかなり趣の違うものになっている。あまりにも違いすぎて、食指が動かない。本書のパターンが非常に気に入ったのに、とても残念である。
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