ゆいのリルフォートでの日用品を買うためにショッピングに出かけるシーンが、めちゃよかった。オルタの世界観はもともと過酷なだけに、「守るべきモノ」を演出するシーンは、ぐっと来る。正しくお色気シーンがちゃんと織り込まれているところも、秀逸。やっぱゆいかわええわー。
通常のスピンオフ作品は、本編オリジナルの「熱さ」の「余韻」を楽しむものなのです。しかし、これらのマブラヴALTERNATIVEの世界観は、サイドストーリーも含めて「オリジナルの熱さ」が感じらられやすい。基本的に、スピンオフ、外伝や素晴らしいオリジナルのコミカライズは、もともとの情報量に比して格段に「格が下がる」現象が起きるので、あまり楽しめないしお勧めできないものなのだが、AgeのマブラヴALTERNATIVEシリーズについては、例外的にとてもお薦めです。というのは、シェアワールドとしての構造が確固たる形で完成(さらなる展開)しており、さまざまなサイドストーリを許容するだけのキャパシティがあるものだからです。これくらいの広大な許容空間(=プラットフォーム)を持つシェアワールドは、手塚治虫や近いところではCLAMPなどがありますが、かなり珍ししい。
さて、そもそもスピンオフ的な物語を「単体で楽しむ」のは、めずらしい層であって、ここで狙うべきは、既存のオリジナルを知っている人が、「オリジナルの余韻」で楽しむ以上の何かを届けられるか?が勝負になると思います。そういう意味からすると、トータルイクリプスは、オルタ本編の持つ「へたれな自分を叩きつぶして自己成長を遂げる」&「人類を守るという大義のために戦う」という王道の大テーマに対して、「へたれでなくてもやっぱり自己成長にはいつでも極限まで苦しむもの」&「人類を守る大義のために切り捨てられた人々から反攻とルサンチマン」という同じ大テーマを掲げながらズらしたアプローチが採用されているように見えます。
特に切り捨てられたもの・・・難民たちからの大規模テロリズムは、本編では触れられることのなかった狭霧大尉(クーデターだけみるとちょっとマクロが見えないアホに見える)ら、「虐げられてて大切な人を奪われた踏みにじられた人々」の話が主軸に置かれるのは、とてもオリジナル以上の熱さを感じさせる。オルタ本編だけでも、超弩級のウルトラ傑作なのに、あれが一エピソードして成り立つくらいのこの「BETAのいる世界」の物語設定のプラットフォームは、広大だ。おいおい、まだこんなに、おもしろいものみせてくれるのかよっアージュっ!って感動します。