この本は「マネーロンダリングを理解していない人が書いた本」である。
そのため、副題は「汚れたお金がキレイになるカラクリ」となっているが、カラクリを理解したい方にはお薦めできない。私はカラクリの説明を期待してこの本を買ったのだが、マネーロンダリング(以下マネロン)の仕組みについては新聞に書かれている程度の概念的な説明にとどまり、それ以上の情報を得ることができなかった。
筆者の他の著作タイトルを見れば分かるが、専門は地下経済とBRICsのようである。なので、第3章〜終章の地下経済の考察やBRICsでのマネロン事例(計116頁)については読むべきところもあるが、序章の最新マネロン事例や第1,2章のマネロンの説明(計101頁)については、完全にピントがずれていて、私には何が言いたいのか全く分からなかった。読了後に振り返って考えてみると、マネロンを理解していない筆者が書いたのだから当然である。
しかし、筆者を責めることはできないだろう。この本は、マネロンとは直接関係ない内容が約半分を占めていて、かつ、文字が大きく、行間も広い。つまり、マネロンについての内容がきわめて薄い本であるのだが、これは本書が書名からスタートしたよくある新書で、筆者が苦労してここまで書き上げたものがあることがよくわかった。
マネロンについて本当に理解したい方は、これも新書だが橘玲のマネーロンダリング入門をお薦めする。私にはこちらのほうが分かりやすかった。