傑作です。
アメリカ・メジャーリーグの野球チーム、アスレチックスが題材で、
2000年代前半、つまり最近の実話を基にした映画ですが、
同じ脚本家・制作陣による傑作・ソーシャルネットワークに劣らない、
巧みな編集と粋な演出に溢れた超A級のエンターテイメントでした。
内容は「超貧乏球団で、超大金持ち球団と張り合う」というもので、
あえてテーマ的なものを1つ抜き出すとすれば、
「野球が財力の勝負になったらつまらないでしょ」という感じでしょうか。
超貧乏(ぶっちぎりで一番)球団のマネージャーである
ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)が”勝つ”ために取る手法は、
古参のスタッフにも、監督にも選手にも、そしてファンにも、
相棒ピーター以外には一切理解されない極めて冷酷なもので、
戦犯扱いされながらも頑なに信念を貫く、というのが話の大筋です。
徹底的に統計(数字)に基いた選手評価法や
バッサバッサと選手を放出する冷酷っぷりは嫌われる要素満点なのですが、
彼の無骨な人間性に次第に魅了されてしまい、
一観客として「うまくいってくれ!」と願いながら観ました。
そして「これが実話ってマジかよ」と唸るレベルの超・快進撃は、
実際の試合映像を巧に使った構成で爆発的な高揚感を演出し、
すっかりアスレチックスのファンになった気分でした。
映画に対して明確なテーマを求める方々からは
「結局何が言いたいの?」との酷評もあるようでしたが、
重要なシーンで挿入される実の娘の歌と、
それに耳を傾ける彼の表情に凝縮された”ただの人間”としての彼の魅力を前に、
映画としての不満は一切ありませんでした。
“If we win with this team, we'll change the game”
“このチームで勝つことが出来れば、野球(そのもの)を変えられる”
彼の情熱と人間味の虜になってしまう、そんな素晴しい映画です。
メジャーリーグや野球そのものについて知識がなくても、
この作品は是非。