同じテーマを取り扱った『ヒルズ黙示録』は、じつに丹念な取材のノンフィクションだったが、著者自身がライブドア側、たぶん宮内氏とあまりにも近しいようで、客観性に著しく欠けている上に、検察への取材がほとんどできていない。その意味で、どこまで真に受けていいのか分からなかった。この作品に関しては、検察の内部情報がふんだんに盛り込まれているのが大きな特徴。それでいて、検察側に対する批判もきちんとしていて好感が持てた。さらに、この作品の斬新な点は、問題を検察の弱体化と捉えているところだ。東京地検特捜部の捜査能力が著しい低下を見せる一方で、強大な権力を維持したまま、時の権力にすり寄る。それが近年の国策捜査の連発と公判での特捜部の連敗につながっていくという、検察権力の制度疲労の構図がよく描いてある、新たな検察論として一読の価値あり。