日本の狂乱バブルを経験し、アメリカのサブプライム問題に端を発した現在の世界的なリセッションの渦中にあって、一体マネーと金融の本質とは何なのかという疑問が否応なく頭を占めている時期にタイムリーな本が出たと期待して読み始めた。時空横断的に豊富なエピソードを満載してやや取り止めがない感はあるが、考える材料としての知識を沢山与えてくれる力作だと評価できる。但し疑問の本質に迫ったかと思うと別のエピソードに飛んでしまうので原作者はジャーナリスティックな資質の持ち主なのだろうと推量する。原作はという但し書き付きで評価は星4つ。翻訳本は星3つ。
というのも翻訳文が章によっては非常に雑な感じがする箇所が多くて、日本語の文章にさえなっていない箇所が多々見受けられ、意味が汲み取りにくいので原文を推量しながら読んでいるうちに、原文への好奇心に負けてペイパーバックを買ってしまった。やはり翻訳の素人の小生でさえ「こう訳せば良いのに」「日本語の推敲が足りないな」という箇所を見つけながら読み進むうちに致命的な箇所に当たってしまった。第4章273頁「1937年7月9日、日清戦争が勃発して2カ月後に、」云々。1937年に日清戦争? いくらなんでもそりゃないだろう!と原文を見ると「・・・on 9 July 1937, just two months after the outbreak of war with China.」。ここで明治時代の日清戦争を思いつくような人が翻訳しているのかしら?と唖然とした。云うまでもなく「日中戦争」。訳者あとがきを読むと何人かで分担して翻訳し、訳者はアンカーを務めたとのこと。出来の悪い学生にでも頼んだのかしら?編集者やアンカーも何故見落とすのかしら?と狐につままれたよう。
希望的観測としては単に「中」と「清」の誤植であったと・・。いづれにしても「急ぎ働き」には違いない。