為替ディーラーとしての現場感覚を持ちつつ、
国際経済、国際情勢を鋭く分析した書。
へたな経済学者の本が、遠く霞んでしまうくらい充実している。
相場変動の裏(B面)に隠された各国の意図、思惑を解説。
必ずしもそれが唯一の原因ということではないが、
そこを背景として理解しているのとしていないのとでは、天と地の違いがあると思う。
イラク戦争の背景には、フセインが石油の代金をユーロにするなど
通貨ドルの信任にかかわる事態だという認識があったとする。
ギリシア危機というのも、バルカンに強い影響力を発揮し、
ロシアとも積極的な外交を進めていたギリシアを
ユーロから切り離し、弱体化させるために演出された側面があるという。
ゆうちょ問題の見方も面白い。欧米的には、当然金融庁監督下に置くのが
正当だが、欧米に都合のよい規制ばかり押し付けて来るBIS規制から
逃れるためには、このままにしておいて、政府系ファンドとして
活用するのが良い、と指摘している。
衝撃的な分析が、説得力をもって、かつ慎重に組み立てられているのが
すばらしい。
旧来の知的権威者が力を失っていることを示す良い例だと思う。
経済政策、外交にかかわる政治家、官僚はもちろん、大学教授たちに是非読ませたい。