著者はアメリカにおける投資信託(ミューチュアルファンド)の運用会社、バンガード・グループの創始者です。この会社は「投資家の利益最大化」を考えて、「コストが極めて安いインデックスファンド」を中核に投信の直接販売を行っているということで、日本でも何回か紹介されたことがあります。マネックス証券でそのファンドの一部が販売されていて、さらに昨今ではセゾン投信などが同社の商品を組み込んだファンドオブファンズを設定したりしているため、耳にする機会があるかもしれません。
さて、著者の主張は要約すれば結構短く、「投資ではコストを重視すべきで、インデックスファンドがそれには最適だ」となります。しかし、それを数字という冷徹かつ正確に物事を照らすものを用いて何回も何回も「しつこい」程に説かれており、読む者はそれを強く認識させられるようになると思います。
現在、日本では「毎月分配型」のように分配金(配当)を多く出すファンドが人気を集めているようですが、読んだ後にはこれは「税金」というコストが余計にかかる、非合理な商品であるということが認識できると思います。
また、日本の投資信託は新興国などに投資するものが増えた影響とはいえ、昔に比べて「信託報酬」など投資家が負担するコストがどんどん高くなっています。一方、コストの安いインデックスファンドやETFはまだ余り普及しているとはいえません。この本により、日本の投資家にももっとコストがいかに投資活動に影響を及ぼすか、それが安いインデックスファンドがいかに合理的な商品であるのかということを、認識して欲しいと思いました。
ただ、著者はETFを批判的に記したり(商品そのものの欠陥ではなく、投資家の活用法の問題としての指摘なんですが)、海外投資は余り多くすべきではないとも主張(賛否両論あると思いますが)しているので、読む際には若干注意が必要かな、と感じる所もありました。そのため「訳者あとがき」も必読だと思います。