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というのも、どうにも納得がいかなかったのは、主人公フランチェスカの子供たちがこの手記を第三者のもとへ持ち込んだというそもそもの設定です。よき夫がいながら自分の母親が道ならぬ恋に落ちたことを綴った手記を、果たして他人の目にさらすような挙に出るでしょうか。お父さん、かわいそう、というのがまずあるべき健全な気持ちではないのでしょうか。私の友人もこの本を読んで、自分の妻がああなったらたまらない、って思い続けたと言います。読んでいる間じゅうそういう消化できない思いが付きまとってしまった作品です。
その点、この小説を映画化したハリウッド映画のほうがまだ見ていて気持ちが添う思いがしました。長じるに及んで息子が「母親の不倫など息子としてはどうしても認めたくない」と苦悶するシーンがあります。心情を真摯に吐露するその場面は世の息子たちに共通する信仰告白にも似て、私の心に深く刻まれました。映画のほうが小説よりも仕上がりがよかったという稀有な体験でした。
なお、平易な英語で書かれていますから、ペーパーバック初心者でも十分読み通せます。
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