朝鮮戦争当時の野戦病院に従軍した医師達を中心に物語が展開してゆきます。
凄腕の外科医=超スケベなオッサン、という二重人格が同居するような人々の中で起こる喜劇的なエピソードが満載なのですが、見終わった後には何だか重苦しい雰囲気が残る映画です。
爆笑シーンも多いのに何でかなと思ってよ~く考えてみると、冒頭のシーンには喜劇的な表現が全く無いのです。そこから全編が網のようにつながっている映画だったのだと気づきました。
冒頭のシーンとは、「自殺は全ての痛みから解放されるもの」という逆説的自殺礼賛歌詞の映画主題歌が流れる中、戦場の上をヘリコプターが飛んでゆく単純な映像がずっと続くというものですが、この冒頭のシーンはどこにでも有りそうで、そうではない、この映画における最重要な映像だと思います。
またこの主題歌は素晴らしい名曲で、歌は有名歌手などではなく出演者自身で歌われているということも付け加えておきたいと思います。邦題は「いつかあの世に行けたら」でした。
女性のシャワー中に回りのテントを取り払ってしまったり、他部隊との親善フットボール中に相手の中心選手に麻酔薬を注射したり、笑えるエピソードには事欠かない映画なのですが、そういうとんでもない行動を起こす主人公が、戦争で傷ついた兵士が運び込まれると一転凄腕の外科医に戻り本来の医者として超人的に活躍する。突然一瞬で死が訪れるかも知れない戦場でそんな毎日が繰り返される中、本来の自分はいったいどちらなのかわからなくなってしまう。 そういった「戦場での狂気」が根底に流れているテーマなのだと思います。
私は「地獄の黙示録」などの多くの戦争映画と共通するテーマを掲げながらも、それを喜劇的な表現の対比として扱った、超名作映画だと思っております。おそらく私の一生のベスト10に入る映画です。