まず、第一印象を率直に。カバーデザインはパステル調の色使いがパリのシックな街角にはむしろ新鮮でなかなか良い…が、しかし、なぜ「エリコ」だけ突出しているの?…意図がわからない、というより失礼ながらコミカルでちょっと笑えます。前作「エリコロワイヤル」の方がさりげなく品があって良かったです。
そしてページを開いて思わず「あぁ…!」となりました。
実は、前作の文字や写真があまりに小さくなかなか内容を読む気になれなかった為、今回はもう少しゆったり、つまりアラフォーの視力を顧みたものに改善されていることを密かに期待していたわけです。行間を広くした為にますます文字が縮小された印象です。
写真も、三つ星レストランでのご主人とのショットなど数点のみ引き伸ばされてはいますが、肝心のショップ内の詳細写真はあまりにも小さくコンタクトを外して読むしかないと思った次第です。
「携帯に便利」をそのまま引き継いだ結果、ガイドブック本来の機能を果たさない不親切な案内人のままだったことが残念です。
一方、9年前の江里子さんの大好物のパンを頬ばる、あどけなさが残るスナップや、なんともキュートな満面の笑顔がそのまま残されていて心和む場面も。元々、知性派とは言い難くも、こういった単純明快な自己表現が彼女の魅力なのでしょう。
また、私自身の昔からの趣味の一つである「ホテルで朝食」の楽しさに彼女も最近になって開眼したとの下りに不純と知りつつも思わず加点1。
カフェやレストラン、ホテルなどは前回の8割程度が掲載されていますが、ショップは変遷が著しく、「Yukikoさんのお店はどうなったのかしら…。」などと気になったり比較したりするところが改訂版の醍醐味ともいえます。
エッセイについて一言。著書の半分を割いた分量はガイドとのせめぎ合いで全体が中途半端な印象に。
フランス文化と超個人主義たるフランス人との相入れない部分を経験してきたからこそでしょう、「進化」という名の頑張り感のようなものを感じるのは気のせいでしょうか。テンションをキープするのに疲れておられるな、と。
旅行気分とは全く異なる、在留邦人としてある一定期間を過ごしてきた者の多くが経験する内なる孤独は、年に数回の帰国の機会に恵まれている彼女であってもそうそう拭えないことが、はじけた文章の隙間から滲み出ています。
江里子さんが本来持っている純真無垢ともいうべき大らかさはぜひとも退化させず大切にしていただきたいと思います。成熟とは、どのような環境にあっても、より余分な装飾が削ぎ落とされていく過程であり自らの本質への回帰だとも思うので。
次の10年で、さらに肩の力を抜いた周囲をもリラックスさせるような自然体の江里子さんを期待しています。