この映画を見て、パトリック・オブライエンの20巻もの小説を、一本の感動的な作品にまとめあげたウィアー監督と脚本家ジョン・コリーの手腕に驚きました。
ストーリーラインはラッセル・クロウのキャプテン・ジャック・オーブリー率いる「サプライズ号」とフランスの私略船「アシュロン号」の大西洋での追いかけっことシンプル。
そして映画が始まると同時に私達も船に乗って一緒に航海をしている気になります。
何も起っていないようで、船上では様々な人間模様が繰り広げられ、小さなエピソードの一つ一つが重なってクライマックスへと導かれるスマートな演出も素晴らしいです。
ラッセル・クロウは画面に出たとたん、難なくジャック・オーブリーになりきるところはさすがです。そして他の俳優達も皆とても自然な演技で、当時の士官、平水夫達はこうであっただろうと、すんなりと受け止めることができます。
時としてこれは映画ではなくドキュメンタリーなのではと思わせるぐらいリアルですが、それでいて、ウィアー監督なので映像が綺麗です。
特筆すべきところは「サプライズ号」が停泊するガラパゴス島の自然と動物達。息を呑むほどです。そしてキャプテンと軍医マチュリンのバイオリンとチェロのデュエット・シーンと作品全体に流れるバッハ、モーツァルト、ヴォーン・ウィリアムス音楽も最後まで印象に残ります。