SSL(Secure Socket Layer)とその後継版TLS(Transport Layer Security)について解説した定番とも言える名著。SSL概念の基本から、実アプリケーションの実行性能の考察に至るまで余す所なく解説されている。
まず、セキュリティとは何かという基本から始まって、暗号概説、鍵の問題、デジタル署名などSSLの前提になる項目を平易に解説する。そして、SSLの考え方とプロトコルが詳細に述べられる。ここまでの部分でSSLに関する知識は一通り分かったような気になる。その後、以前の記述では余り触れなかった非対称暗号のRSA, 楕円暗号、デジタル署名のDSS, DH等の説明がなされる。つまり、SSLを学習しながら、暗号の基礎知識も得られる仕組みとなっている。次いで読者の参考のため、SSLを用いたコードの断片が示される。そしてSSLの実用例として、SSLを用いたHTTPプロトコル、TLSを用いたSMTPプロトコルの実装手法が示される。この中で、単に手法を述べるだけでなく、実装上の実行性能を配慮して、SSLによるオーバヘッドの軽減にまで気を配っている点に価値がある。最後に他のプロトコル(例えばIPsec)との比較があって、これも興味深い。
本の分量はかなりあるが、説明が段階的になされ、しかも文章も読み易いので敷居は高くない。そして、上述の通り、本書の内容はSSLの全てを網羅していると言えるので、SSLのマスターには最適の一冊である。