現在マスコミの劣化について声高に叫ばれていますが、その原因を制度面から考察した本です。著書は産経新聞出身の弁護士の方で、それだけに丁寧で、わかりやすい内容だと思いました。
特に広告枠を扱うことでマスコミに対して相当な影響力を持つという広告代理店のこと、そしてこの代理店が現在ほとんど独占状態となっているという現状についてページを割かれている点が印象に残っています。
その最大手の代理店は100年以上の歴史を持ち今期創業以来初めての赤字になったということですが、その極めて優良な財務体質と、戦後の米国占領を乗り越えてこれだけの力を持つに至った経緯を思うと、広告代理店という表に出ない存在はかなり不気味なものだと感じました。
そしてこれ以外にも様々な規制があり、それらが複合的に作用して、結果的に強固な鎖となって、大手マスコミに関しては事実上の報道管制されているという言葉には説得力がありました。
しかしその一方で、マスコミ自身が自らそうした鎖をはずそうとしなかった不作為について言及されていなかったこと、ジャーナリズムに基づく報道を行おうとする努力の放棄については、本書の中でほとんど言及されていないことが残念です。
例えば政府からの介入を許すきっかけとなった捏造や、過剰なプライバシーの侵害などはマスコミ自身言い訳のしようのないものばかりで、これらの反省、そして自浄努力について述べられていないことは片手落ちであるように思いました。