本書「マナバーン2009」は、世界最初のトレーディング・カードゲーム(使用するカードを買い集めるカードゲーム。TCG)である「マジック・ザ・ギャザリング」(略称『マジック』)の戦略ガイドブック。マジックは最大の賞金制組織大会が運営されているTCGであり、草の根で世代・習熟度を問わず広く遊ばれつつも、世界規模の大会で競い合うトッププロのプレイヤーたちが存在する、知的競技としても成熟したカードゲームです。
昨年創刊された「マナバーン2008」は、マジックの現状ゲーム環境紹介に留まり、やや価値の薄い本でした。競技ゲームであるTCGの世界は、ネット上の速報・大会報告・戦略議論の飛び交う情報戦の面もあり、今世紀に入ってからは紙媒体の情報誌はかなり減りました。しかしまだ基礎や戦略情報の価値を知らない初級プレイヤーがいつでも参照できるよう、優れた戦略理論書は常に求められている。
そして久方ぶりに『決定版』とも言えるレベルの名著が誕生しました。日本が産んだ世界級のトッププロたちの筆になるガイド、それがこの「マナバーン2009」です。
内容は知的競技ゲームの基礎・一般論からスタートします。「うまいプレイヤーと強いプレイヤーは違う」「『ブラフ』の理論」そして昨年でのマジックのゲーム環境の背景、水面下での戦略思考の推移や理論の裏付け。過去の海外名記事の翻訳。また、プロプレイヤーや関係者のゲームプレイ(遊びじゃなく『仕事』も)レポートや大会旅行記、そして人生の一部としてゲームと付き合い遊び続けることへのアドバイスなどなど……
伝統的な知的ゲーム「囲碁」「将棋」等と同様、15年の歴史を持つTCGとマジックには今や『文化』とも呼べる高度な世界が存在します。このゲームのプレイヤー以外にも、勝負事や競技に興味のある方は楽しめる部分は多いでしょうし、戦略論の多くはマジックに限らず他のTCGや対戦ゲームに援用できる普遍性も備えています。
『遊ぶ』だけでなく、『ゲーム』自体の世界にも興味のある方には、お勧めです。