こんな不思議でヘンな小説は今まで読んだことがなかった。目ウロコ的未知の読書が続くので話の展開もまるで読めない。「こういう内容だよ」と説明するのもかなり難しいのではないだろうか。次の1行がどこに向かって飛んでいくのかすらもわからない。あまりにも風変わりなものを目の当たりにすると、呆気に取られることも忘れてプッと吹き出してしまうものなのだ。「ヘン」の連鎖と波状攻撃はひたすら混乱を深め、めったやたらと面白い。極上のシュールな要素を脇に置いて、本書を見渡してみても、シニカルな視線のくすぐり、我知らずツボに来るユーモアのセンスがキラリと輝く。全9篇の短篇集なのだが、次はどんな話なんだろうかと胸躍らされる体験はずいぶん久しぶりだ。「本の雑誌」の2007度ベスト10のおかげで本書を知った。今急いで、ケリー・リンクの第一短篇集を注文したところだ。感服。脱帽。