著者の五十嵐氏は「インド心の旅」の主催を通じて、マザー・テレサと個人的に親交があった人物。全6章中、1−3章は著者・五十嵐氏のボランティア活動と氏が主催する「インド心の旅」(マザーハウスでボランティア活動をするツアー)のエピソードが主となっており、4−6章がマザー・テレサについての記述である。1−3章で紹介されるボランティア活動は素晴らしい。4章以降では、他の伝記では言及されなかったマザー・テレサの素顔を親族の本や、関係者へのインタビュー、マザー・テレサの書簡集等から浮き彫りにすることを試みている点は評価出来る。但し、4章のマザーテレサの前半生、5章が啓示を受けてからのマザーテレサ、6章マザーテレサの遺書について主に述べているのだが、資料の扱い方が少々雑。一番の問題は多くの貴重な資料等から導いた結論が、著者が最も主張したい「真実」であるらしいのだが、これがどうも納得できなかった。著者のボランティア活動の社会貢献は素晴らしいけれども、マザー・テレサの「真実」を見極めるには、もう少し足りない感じがした。