ふとした事から塗れば変身出来る魔法のリップクリームを手に入れた尾玉氏らしい普通の様で大変変わっている目保マコちゃんを主人公とした作品、堂々の3巻目です。
マコちゃんが思いを寄せている人を寄せ付けない虚ろな視線のUMA好き少年清輪君と諸悪の根源進取の気性ゼロの魔女ザイアー、おたくで趣味のアニメが拘るとグズグズになってしまう頼りにならないパパ、偉い方だが病弱で吐血癖があるカーマ・スートラ先生と、読んでいて心配になってくる登場人物ばかりで、比較的しっかりしているのが所詮は肛門丸出しの猫レンチとつい最近までひきこもりだったきよしと、登場回数が減ってしまったマコちゃんのお兄さんだけと言う状況です。
過去の作品では話がどんどん横道にそれて収拾が付かなくなって打ち切り、終了と言うパターンが多かった尾玉氏ですが本作ではかたくなに約束事を守っての長期連載、誠に目出度い限りです。
収録エピソードの中では動物虐待表現の限界に迫った「ゴーゴーキャットキラー号」、オシャレ7の刺客、夢野はっさくの精神攻撃にマコちゃんが関西風ベタな泣き落としで対抗する「崖の上のマコ」、UMA物で始まった筈がヤバイ監禁モノの闇に近づく「「監禁ボーイ」、マコちゃんのパパが憧れのアニメ声優の仮想と現実の落差に悩み最悪の選択をしてしまう「わくわくライフΣ」が面白かったです。
毎回マコちゃんがリップクリームを使用する度に古い呪いが解かれ、新しい呪いにかかるザイアーですが、今回は「脳が強調される」呪いが強く印象に残りました。
これだけ酷い呪いを毎回引っかぶっても無関心なザイアーを見ていると重罪で収監されている長期囚の精神的な退行振りが思い起こされ胸が痛むと共に笑ってしまいます。
だらしなさも含めて笑いを愛する方にお薦めです。大人が読んだ方が多分面白いです。