20世紀の超大国アメリカとの「太平洋戦争」を、基礎工業力の圧倒的差異、ロジスティックス思想の欠如などから読み解き、勝てる可能性のない戦争に踏み切った当時の国家指導者の無謀を批判する。中国戦線、とりわけ対ソ準備で満州に貼り付けた戦力が敗戦の前年に至るまでまったく<死に駒>となっていた事実など、興味深い指摘は多い。ただ、筆者の文体には、あまりにも虚飾が多い。漢文教養を示したくなるのか、いたずらに大袈裟な形容詞を使うため、かえって史実のみで読者を説得する深みを失ってしまっている。さらに、書籍としての構成上、同じ論旨をこれでもかこれでもかと繰り返すため、必要以上の分量となってしまった感が強い。その意味では、「物書きとして素人」の労作である。