本書はメディアワークス発行の「電撃ホビーマガジン」に模型改造作例が連載中で、かつ商業作品としてはマクロスシリーズ初のウェブ小説がアップロード継続中の「マクロス・ザ・ライド」に関して、その第6話までの世界を模型写真、カラーイラスト、対談記事、製作記事などでまとめたビジュアルブックになります。
Vol.1 と題していることから、今後続巻が予想されますがここで見どころを挙げたいと思います。
1.世界観と登場人物紹介(1P - 6P)
少ない頁数でよく纏められています。基本的に上記雑誌の再録ですが、低価格であることを考慮すれば必要十分な出来映えだと思います。
2.作例について
基本的には上記雑誌の作例の再録ですが、上質紙に印刷され、また雑誌掲載時にはトリミングなどで主翼端や機首が微妙な範囲でカットされていた分が見直され、要所に於いて機体全景が収まるように修正がなされ、また色合いも紙質向上に伴い、彩度が上がっています。
なお、新規追加記事として白黒(モノトーン)ページのメイキング技法ダイジェスト(72P - 79P)が追加されています。
私的には工房「クラブM」のレジン樹脂製のガレージキット(大気圏内軽装型を初めて設定した 1987年発売のムサシヤ 1/72ガレージキットではないのが残念ですが)を改造した(通常型転換機能設定を捨てた)VF-4SL 「ライトニング」 の改造記事が興味深々で、購入の第一の目的は達成できました。
3.天神 英貴 氏(可変戦闘機・レーサー仕様スタイルアレンジ)と 河森 正治 氏(変名;ジョージ・山森 監督)対談
本書を購入する動機の一番の理由がここにありました。
超音速機の最大速度を競う競技大会ではなく、一定の競技規定(レギュレーション)下、環境艦の地表すれすれを物理的な制限速度で競うという形で、試作機と実用機間の実用化に伴う改修による付加物と、そのラインの崩れを、競争機に応用するという天神氏のアレンジ論は、従来の「贅肉」(ぜい肉)をぎりぎりま削ぎ落とすのがレーサー機だと漠然(ばくぜん)と考えていた私にとって、目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。
可変航空機(戦闘機ではないので)を「非可変の競争機」にするのではなく、「バンキッシュ・レース」規定に従い、ガウォーク、腕を収納したガウオーク(ガウォーク・ファイター)によるオストリッチ競技、バトロイド形態のみ限定競技を含めた「航空機の可変システム競技」を行うのだから、このようなデザイン論には、それなりの説得力があると思いました。
最後に殿方の皆様におかれましては、
マクロス・ザ・ライド 上 (DENGEKI HOBBY BOOKS)では、価格と紙質の都合で白黒掲載されていた「エナミ・カツミ」氏の挿絵をウェブ小説と同様に「フルカラー」で掲載し、美麗で逞しい女や娘たち、どこか
ロボットアニメヒロインズDX ステラ・ルーシェを想起させる、年端もいかない薄幸の少女「マリス・ステラ」の姿を再録して欲しかったのではないかと、40歳過ぎ女の私は考えてしまうのです。
これについては、売れ行き次第で何らかの救済策が講じられる可能性があるかもしれません。
と、ここまで書いておいて、読み直し、他者に勧めるべき記事として判断した場合、☆1つ減点させて頂くことにします。
本来は、小説本体でフォローされるべき内容なのですが、対談でその一部が述べられていた「可変競争機」としての競技規定(レギュレーション)が曖昧で、外見(ビジュアル)や単純な「勝ち残り戦」のようにも受け取れる本文中での描写を、ビジュアルブック側で支援すべきなのですが、18頁から19頁に掛けての全2頁の概略を紹介した「イラスト」(図説)紹介のみに留まっています。
航空機による「エアレース」の歴史が実質、殆ど無い日本に於いては、このようなレース規定の詳細な検討は、お座なりになっていると考えます。
レギュレーション設定に明るい専門家を招くか、実際にアメリカでの競技規定を研究して、更にそれを可変航空機で行う必然性のある内容に昇華して(今の内容では機体を二つ折りにして強度を落し、余分な重量を増やす「バトロイド」形態維持の必要性が無い)小太刀氏を補佐すべきブレーン(右腕)を採用して規定をきちんと再構築すべきと私的には考えます。