かつて同名のCDボックスがリリースされた際にビデオ版として出た傑作がやっとDVDとなった!しかも81年エッセン公演(ロックパラスト)がボーナスなのだから快挙である。
年代順に過去のライヴを追いながらロジャー、ピート、ジョンが証言をしていく構成である。
というと何の変哲もないドキュメンタリーなのだが、他と違いこれが優れているのはライヴ映像が完奏で入れてる点だ。たいていせっかくの過去の映像にインタヴューがかぶりちょちょ切れ…というパターンが多いのだがこれは違う。水面下でブートとして流れているものが、インタヴューと演奏が重ならない形で(オフィシャルで)見れるのは嬉しい。こうした特に技術的にも難しくはなかろう構成がどうして出来ないのが多いのだろうか。ポール・マッカートニーやストーンズあたりも見習って欲しいとこだ。
インタヴューも面白い。たいていは美談で終始したり当たり障りないのが多いが、特にピートのぶっちゃけ発言は興味深い。ジミ・ヘンドリックスの天才性を認めつつ、レコード会社が当時同じ所属だったためいつもバッティングさせられ張り合うのがきつかった、とかワイト島フェスで彼が元気がなく助かった、等など。それだけ当時ジミヘンが大きな存在で脅威だったことが分かる。"Dreaming from the Waist"がロジャー好みなので嫌いだとか"Sister Disco"もロジャーがポーズを取るのでウザくてイヤだったとか、なかなかここまで言えるアーティストは少ない。毒舌を言いつつも今ではかけがえのない親友であり、ピート自身が児童ポルノの容疑でヘコんだ時助け励ましたのもロジャーであった。
DVDとなり若干の不満点もなくはない。最初のビデオ版と内容が差し替えがある点だ。ビデオ版はそのままに追加という風にして欲しかったところ。あと最初のリリースから時間が経ってるのだから『四重人格』リユニオンも含めて欲しかった。
それと音声面が一応ドルビー/DTSでリマスターにはなってるが、向上した印象を受けないところだ。新旧時代がまたがり混在してるコンテンツゆえ仕方がないかもしれない。
改めて見て感銘したのは初めの64年のライヴ"Anyway,Anyhow,Anywhere"だ。
楽器を壊すパフォーマンスだけでなく曲がインプロヴィゼーションし展開してる点だ。まだプログレとかジャズ・ロックが出現するはるか前にである。こういうのを観ると我々には早すぎて日本でブレイク展開・浸透できなかったんだなと思ってしまう。