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マオ―誰も知らなかった毛沢東 下
 
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マオ―誰も知らなかった毛沢東 下 [単行本]

ユン チアン , J・ハリデイ , 土屋 京子
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (21件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

「ワイルド・スワン」の著者、待望の新作
長年にわたる調査と関係者への取材をもとに、驚くべき新事実をふんだんに盛り込んで新しい毛沢東像を描き出した衝撃的歴史大作。20世紀中国を知る必読の書。

内容(「MARC」データベースより)

スパイの暗躍、大飢饉、権力闘争、そして文化大革命…。世界の4分の1の人口を支配した最強の独裁者の全貌がここに! 権謀術数渦巻く20世紀中国を、「ワイルド・スワン」の著者が圧倒的な筆致で描いた歴史巨編・下巻。

登録情報

  • 単行本: 582ページ
  • 出版社: 講談社 (2005/11/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406213201X
  • ISBN-13: 978-4062132015
  • 発売日: 2005/11/18
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.4 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (21件のカスタマーレビュー)
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102 人中、91人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By h.yamagata 殿堂入りレビュアー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
(上巻より)

邦訳の上巻は、毛沢東が中華人民共和国の独裁者の座につくまで。下巻では毛沢東が超大国になろうとして、諸外国に媚びを売りちょっかいを出しつつ失敗する様子が描かれる。詳細なインタビューに基づく記述の迫力は比類がない。またトリビアとしても、中国が自国内の外国公館を偽装デモ隊に襲撃させるのは毛沢東以来の伝統であることもわかるし、他国に難癖をつけて嫌がらせをするのも常道であることがわかる。最近の中国の対日施策理解にも勉強になる部分が多々ある。

 しかしながら、本書は冒頭から毛沢東個人を悪く書こうとして納得のいく記述がなされていない場合がある。たとえば毛の軍事天才神話を否定するため、国民党に対する勝利はすべてスパイによる工作の結果でしかなく、毛沢東自身は無能だとする。でもそこまでのスパイを敵軍中枢に送り込んだのは、きわめて高い軍事能力ではないか? また国際的発言力を手に入れようとする毛沢東の策謀すべてを失敗だと著者たちは描くが、国際関係でそんなすぐ成果がでるものではない。ニクソンや田中角栄の訪中のインパクトは子供心にも強く、さほど矮小とは思えない。1999年に出たフィリップ・ショートによる決定版とされた毛沢東伝(未邦訳)と併せ読む慎重さは必要だろう。ショート版は毛の思想形成史や成長過程かなりていねいにたどるが、チン版はそれを完全に無視。毛沢東はとにかく生まれつき一貫して残虐で利己的で打算的だったのだと決めつけ、それにあったエピソードだけを並べている。

 本書が毛沢東の伝記として画期的な存在であるのはまちがいない。ただしそのまま鵜呑みにするのは危険。毛沢東の伝説の相当部分を否定しつつも、それなりに能力のあった人物だと評価したショート版と、新資料に基づきつつすべては毛沢東をまったく評価しないチン版との間で、今後の世界の毛沢東像は形成されることとなるだろう。
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44 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 竹の梯子 VINE™ メンバー
形式:単行本
最終章は毛沢東が息を引き取るところで終わる。語弊を承知して書けば、死することによる償い、ある種のカタルシスが得られるのではないか、と思ったが、不毛な虚無が胸中にわだかまるだけであった。毛沢東が究極的には世界の覇者として君臨する果て無き野望に向かって邁進する影で、中国内の何千万という無名の人たち、チベットをはじめ、近隣諸国の多数の人々を蹂躙してきたことが赤裸々に記されている。毛沢東支配下における中国が国連の安全保障理事会の常任理事国となり、核保有国となった背景には冷戦構造を巧みに利用した策略があった。それらに勢いを得てさらに突き進む毛沢東・・・本書を通して明らかにされた壮絶な悲劇は彼の死去によって終わるものではない・・・。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 柴風
形式:単行本
 本書の総論的な感想は、上巻のレビューで長々と述べた。
 ここでは、本書への批判や懐疑論を踏まえた上で、あらためて本書をスイセンしたい自分の気持ちの根拠を少しばかり。

1)矢吹晋『中国の虚実』を基に本書を批判する向きがあり、わざわざ買って当該論文を読んでみた。確かに客観的でもっともらしい反論がいくつも書かれており、勉強にはなった。しかし、よく読むと、重要な批判の大部分はアメリカの研究者の受け売りだ。また、重要な争点の一つである、「瀘定橋の戦い」についても、オーストラリアだかの新聞社が証言した人物を捜しあてることができず、別の人物が、戦闘は確かにあったと証言しているので、本書の既述はニセモノだと、早々と断定してしまっている。
 しかし、つい最近邦訳が刊行されたフィリップ.ショート『毛沢東』下巻所載の訳者、山形によるあとがきによると、その後、いろいろと新発見があり、まず、ユンがインタビューした人物は実在した。また、別の研究者が別の生証人を見つけ、新たな情報も聞き出している。それらをまとめると、戦闘は全くなかったという本書での既述は行き過ぎとしても、エドガー・スノーやショートの本に記載されている方が、事実よりも遠いのではないか、ということがフェアに語られている。ちなみに、山形は本書をけなしている、にもかかわらずにだ。

2)読者には冷静に考えてもらいたいが、まだ、中国は共産党が支配しており、一時に比べ毛沢東の神聖化は沈静化しているのかもしれないが、それでも、情報が完全に公開されるような時期には無い。したがって、現段階では、あらたな事実が次々発掘され、いつ「定説」がひっくり返されるのか判らない、いわば沸騰した時代にあるということだ。したがって、旧ソ連というカウンター・パートからの視座に立った資料収集や分析は、非常に有効だということ。少なくとも、中国国内からの情報は、かなり大量に眉に唾をつけるひつようがあるということ。

3)毛沢東の感情云々ということについては、これまで☆の数ほどある歴史家が、様々な人物の感情を勝手に忖度して歴史書を書いて来た。そもそも、他人の感情は判らない、と原則論をもってすれば、さらに、間近で相対した訳ではない人物の感情を、他人の意見や残された書き物などを根拠にあれこれ書くことは、すべて空想ということになる。それを言っちゃあ始まらない訳で、突き詰めれば、読者のイメージや提起された証拠物件から読者自らが想定する相手の感情と、著者が記すそれとが、どれほど齟齬がないか、という問題だろう。
わたしは、いまだに「毛沢東」とう人間がよくイメージできないし、最終的になんらかの像が浮かび上がって来るのかもわからないが、いずれにしろ、本書に描かれたユン・チアンの毛沢東像は、興味深いし、無下に否定する根拠も無い。

4)歴史科学というものは不思議なもので、たとえば、数学における証明とはだいぶ本質が違うと、私は思っている。たとえば数学で言えば、結論だけは正しくても(フェルマーの最終定理は正しい、とか)、そこに至る過程が数学的に総て矛盾が内容な有限が手続きに依っていないと、評価はされない。逆に、最後の最後で間違った結論や解釈に達しても、途中までの証明過程が、後進の糧になることは充分にある。
 ところが、歴史の場合、どうしても十全に証拠を見つける前に判決を書こうとするものだから、勢い、問題が生じ易い。しかし、いくつかの細部が間違っていたり、矛盾したりしていても、「全体像」が実像により近い、ということが起こりうる。それが、厄介である。

 私としては、これから先、また新たな史料の発掘や研究が進み、毛沢東像というものも左右にブレ続けると思うが、本書はリファレンスとして、今後20年はその寿命を保ち続けるのではないか、という気がする。
 ちなみに、「特定の立場に立たず、公平無私を心がけて書いた」と称される、前述のフィリップ・ショート『毛沢東』(白水社)も、本書を併せて読むことを強くお薦めする。ちなみに、翻訳の時期は前後したが、実は、ショートの方が原書の出版が6年程早い。したがって、そちらの本はユンの方を批判的に研究して書いたものではないことは、断っておく。
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