クラシック漫画というと、最近は、「のだめカンタービレ」ばかりが話題を独占している感があるが、クラシック漫画というよりは、ギャグ漫画という趣のある「のだめ」は、クラシック・ファンには物足りなく、私の場合は、ギャグばかりの底の浅い内容に、次第に飽きが来てしまい、今では読むこともなくなってしまった。この「マエストロ」は、「のだめ」以上に笑えるギャグも入っているのだが、極めて良質な本格派クラシック漫画であり、こうした作品にこそ、もっともっと脚光が浴びせられてもいいのではないだろうか。
私が初めてさそうあきらを知ったのは「神童」だったのだが、この「マエストロ」では、「神童」より一層、専門的描写が深化しており、指揮者・オーケストラ・奏者を知り尽くした専門的描写は、玄人はだしレベルに達している。クラシック漫画以外にも、あらゆるジャンルの漫画を幅広くこなすさそう氏の、このクラシックに対する造詣の深さに、私は、ずっと、「さそうあきらって、一体、何者?」と思っていたのだが、先日、NHK・BSのクラシック番組「夢の音楽堂」にゲスト出演しているのを見て、さそう氏が本物のクラシック通であることが、よく理解できた。
さて、この「マエストロ」は、スポンサーの倒産で、一旦解散したオーケストラが、無名の怪指揮者天道とともに、一か月後の再結成コンサートに向けて歩み始める過程を描いた物語である。さそう氏は、途中から、奏者個人個人のエピソードを描くことに重点を置いているため、本筋がなかなか先へ進まない点はあるものの、毎話のストーリーは、いずれもよく練り上げられた出来の良いものばかりであり、第2巻の終盤からは、俄然、ストーリーがシリアスになって、怪指揮者天道の正体の一端も明らかになってくる。
2004年初めには全話のネームを完成させているというさそう氏が、最終第3巻で、どんな大団円を描いてみせるのかが、楽しみだ。