1980年代前半に豪華本「世界の音楽家」全3巻が発売された。当時学生だった私には、とても手が出なかった。以来、古書店で探し、再発売を待った。だから本書は私にとって、あまりに長く待ちわびた末に、ようやく貰えたご褒美、といった趣である。記憶にある「世界の音楽家」と、一部の写真が重複しているはずであるが、新しい写真がたくさん含まれているから、逆に削除された写真もまた、たくさんあるのだろう。そういう意味では、「世界の音楽家」自体もまた、何らかの形で復刻してほしいと強く願わざるを得ない。
今回もハードカバーの立派な装丁であるが、値段はリーズナブルであり、写真はもちろん、すばらしい。日本におけるクラシック音楽の普及度は低く、まして音楽家の写真集を買おうなどという愛好家は少ないから、このすばらしい芸術作品もあまり売れないのではなかろうか、などと、余計な心配もしてしまう。何と言ってもクラシック音楽の雑誌は「レコード芸術」が圧倒的な力をもっており(私は今年で購読25年)、一方、木之下氏の活躍の場はこれまで「音楽現代」と「クラシックジャーナル」とが主体であったから、宣伝も不如意であろうと思う。だから蟷螂の斧を承知で、次に言う。
音楽好きの皆さん、買わないと後悔します。