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マウントドレイゴ卿/パーティの前に (光文社古典新訳文庫)
 
 

マウントドレイゴ卿/パーティの前に (光文社古典新訳文庫) [文庫]

ウィリアム・サマセット モーム , William Somerset Maugham , 木村 政則
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

家柄と知性、すべてに恵まれた外務大臣は、自分が見た恥ずべき夢を格下のライバルに知られていると悩んだ末に…「マウントドレイゴ卿」。南方駐在員の夫を亡くして帰国した長女が明かした夫の秘密とは…「パーティの前に」。人間の不可解さを浮き彫りにする珠玉の6編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

モーム,ウィリアム・サマセット
1874‐1965。イギリスの劇作家、小説家。イギリス人の両親のもと、フランスで生まれる。幼くして両親を亡くし、イギリスの叔父に引き取られる。10代は学校生活になじめず読書に逃避。やがて演劇の面白さに目覚め、作家を志すが、現実的な選択として、医学校に入学。1897年、貧民街での実習経験をもとにした『ランベスのライザ』を出版。1907~1908年にはロンドンで上演された戯曲が次々に大成功を収め、社交界の名士となる。第一次大戦中は、英国諜報部員として諜報活動に従事。このときの経験が短編集『アシェンデン』に結実。40代以後は、ヨーロッパ各地や南太平洋の島々をたびたび訪れ、数々の短編を生み出した

木村 政則
1968年生まれ。筑波大学大学院博士課程単位取得退学。大学非常勤講師。専門は20世紀イギリス小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 313ページ
  • 出版社: 光文社 (2011/4/12)
  • ISBN-10: 4334752284
  • ISBN-13: 978-4334752286
  • 発売日: 2011/4/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 312,126位 (本のベストセラーを見る)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By みやさま トップ1000レビュアー
 本作は,モームが47歳から73歳までの間に発表された短編集から6編が選ばれ収録されており,かの有名な「雨」の最新(2011年)の翻訳を読むことが出来ます。
 訳者あとがきによれば,
「彼」「彼女」といった人称代名詞を極力控え,より意識して文章のリズムに心を砕いた。またモームは劇作家でもあり会話が非常にうまいため,とくに会話のテンポには気を遣った。
 とのことで,確かに文章のテンポは良く,会話文も自然で読みやすいです。
 本書は,岩波文庫から出ている行方昭夫翻訳の短編集収録の「ジェイン」「マウントドレイゴ卿」の2作がかぶっていますが,それぞれを読み比べるとそれぞれに良いところがあり,できれば両方を読んでみることをお奨めします。
 たとえば,本書ではリズムを重視するあまり,すっと読んでしまったあと,あれどういう事なんだろう,と思う場面がありましたが,行方昭夫訳では,なるほどと気づかされることがありました。逆に,行方昭夫訳では,言い回しがゆっくりもったりしているなと思う場面が,本書ではサラリと自然に読み進めることもありました。

 いずれにしてもモームの短編は,どれも面白いです。
 そして,どの作品においても,底に流れるのは人間のもつ不可解性,矛盾性です。
 だからこそ,人間は面白く,更に面白い作品が生まれるのでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 夢追人009 トップ500レビュアー
20世紀初めに活躍したイギリス文学作家モームの人間の心の闇の部分を鋭く抉り出す秀作短編6編を収める日本オリジナル作品集です。本書収録の6編はミステリー小説に似てはいますが、その本質は謎解きパズルの面白さや意外性を狙った物ではなく、読後心をざわつかせ薄ら寒い思いを抱かせる不可解な人間性の追及にあるのだと思います。著者は結末を明確にせずにわざと曖昧でボカしたままにする事で読者に考える余地を残して物語に神秘性と深い余韻を与えていると思います。全体的に暗く陰鬱な印象の物語が多い中、冒頭と巻末にやや滑稽な味わいの作品を配した事で悲しい気分が和らげられているのは編訳者木村氏の粋なはからいだと言えましょう。人間の暗い内面がさらけ出され悲劇を生む物語は読むのが辛いですが、それでも異常な人間心理が引き起こす凶事の危険性と怖さを教え自戒させてくれる意味で意義深く著者の作品は永遠に読まれるべき文学だと思います。
『ジェイン』二十七歳も年下の若い男と結婚して輝きを増した中年女性ジェインの心浮き立つ人生の物語。私は彼女のさっぱりした気性を信じて露ほども疑いたくないです。『マウントドレイゴ卿』精神分析医が外務大臣から奇妙な夢の悩みの相談を受ける。極めつきの魅力的な謎の解明は最後まで叶いませんが、幻想小説風の味わいに心を掻き乱され今まで経験した事のない不安感に襲われました。『パーティの前に』南方駐在員の夫の死により帰国した妻が身内に明かした意外な死の真相。酒への耽溺という悪癖よりも数段恐ろしい人間の一瞬の衝動が為し得る行為に慄然とします。『幸せな二人』仲むつまじい夫婦の過去の暗い秘密が老獪で辛辣な元判事により明かされる。真相は藪の中で読み手の二人に対する感情により善悪のどちらにも解釈が可能でしょう。『雨』激しい雨が降り続く南方パゴパゴの地に足止めされた医師が経験した厳格な宣教師の男とある売春婦の間に起きた衝撃的な出来事。信じられない結末がショッキングで彼の行いを非難し責めるよりも人間が衝動に駆られ陥ってしまう悲劇に唯々哀れみの思いが込み上げて来ます。『掘り出しもの』五十歳に近づき夫人と別居中で悠々自適の生活を送るリチャード氏が掘り出しもののメイドを見つけて雇い入れる。彼女は見た目通りに善良な女性なのかそれとも良からぬ魂胆を内に秘めているのか?幸せな男という表現が二つの意味を匂わせるのも面白いです。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
しぞいど! 2011/11/18
By もあ
とかゆうアニメがあるわけじゃあないんだけれど
モームの短編集で意外と現代でも受けそうな作品が
多い一冊です。

「パーティの前に」の心理描写が現代的というかモダンホラーの
ようにも感じます。この家族全員(あるいはこの家族でなくても誰だろうと)
長女と同じ状況になったら同じ事をしてしまうのでしょうか。それに
長女の夫の様にこんな辺鄙な未開地で仕事をしなければならなくなったら・・・
男女共同参画社会ですから女性もアルコール依存になってしまうかも。
とにかく淡々と語り続ける長女がコワイです。シゾイドっぽいし。

「マウントドレイゴ卿」はドッペルゲンガに出会った話とも言えそうです。
もし生まれ育ちが違っていたら主人公はこの労働党議員の様になっていたかも。
ユング心理学で言えばシャドウ・影であり自分の中の一番認めたくない部分。
主人公の夢の中に登場して主人公を苦しめている深層心理系ホラーと
分類できそうです。横柄でエゴイスティックな主人公は自分自身の
肥大したエゴを支えきれなくなったせいで・・・とも解釈できます。
シゾイドというより自己愛性人格?

「幸せな二人」これは見事ですねえ。最後に愛は勝つ!ってフルイですが。
この二人が完全犯罪をやってのけたわけですが、何しろ物証が物証ですから。
そんな物証を突きつけられたら「二人は恋愛関係」という仮説自体が「不自然!」
そのものですから。でもその後子供を授かって幸せに・・・

ジンバルドがTEDでレクチャしていますが「状況次第で人は悪に染まる」
という「人間悪の陳腐さ」(ハンナ・アレントの言葉?)をあてはめてみると
「この状況で自分はこんな事はムリ」と言えそうな話がネタでフィクション、
「この状況で自分も同じ様な事を・・・」と考えてしまうのがリアルな
話なのでしょう。自分が同じ状況だとしても出来そうに無い事をやって
のけるのが「大悪党」なのかも。しかし「幸せな二人」の御婦人の様な
事ってさすがに21世紀のコムスメごときにはちょっと・・・・
ある意味切り札は最後まで取っておくって事?てゆーか最終兵器貞淑?

「雨」他は有名すぎるのでもあ如きが語る必要もなかろうて。
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